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時々思い出したように更新します
by yamanekohouse
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プロフィール
H N:やまねこ
年齢:アラサー
誕生日:ミッキーと同じ
出身:漁港の街に吸収合併
生息地:首都圏某所
趣味:合唱&子育て
資格:ゴールド免許
    (ペーパー返上)
職業:ママ3年生








笑ッカー本部へいざゆかん。


からーさんありがとう☆



*****************


そして夜はめぐり、世界は黒く染まっていく
大「笑ッカー」史 編纂プロジェクト

この数日で何かが大きく変わっています。
何が起きたのか、夜を紡いで思い起こしてみました。






第一夜
11月とは思えないほど暖かいその晩
いつものように自転車にまたがり闇を切って走りながら
やまねこはつぶやいた。

「もう、いい子をやってるのも疲れちゃった」

その声は目の前を横切る車のクラクションにかき消された。
気付いたら無灯火で走っていた。
というか1年半前からライトは壊れたままだった。



そういえば昔からそうだった。
親の前でも先生の前でもいつもいい子。
学級委員には進んで立候補、生徒会の役員も何度もやった。
近所の子どもには公園で勉強を教え、
スカート丈は校則通り膝蓋骨の下まで。
宿題は忘れたことなんてなかったし
真っ黒な髪の毛はオンザ眉毛と決まっていた。


学校でも会社でも、誰もが口を揃えて
「やまねこさんは真面目だ」と言う。
それが褒め言葉だと言うことは知っている。
でも・・・


「だったらやめちゃえよ」


誰かが耳元でささやいたような気もしたが
遠くで聞こえた救急車の音に紛れてしまった。
空耳だったのかもしれない。




第二夜
雨の夜だった。
昼間電車に傘を置き忘れ
あわてて買ったビニール傘は
気付いたら上司に横領されていた。
会社においていた折りたたみ傘をさしてみたら
傘のくせに雨漏りがしていた。


柄を持つ手が濡れてひんやりとしていた。


やまねこはイライラしていた。
傘がないなら濡れて帰るのも諦めがつく。
これが大雨であれば濡れるのも逆に愉快になるだろう。
中途半端だ。
なんとも中途半端なのだ。


頭は濡れないが、なぜか傘の中央にあるはずの手が濡れ
風向きの関係か、足は右膝の裏側だけがやけに冷たい。


「そんなもの捨てちまえよ」


耳元でささやく声に導かれるままに傘を閉じ
もったいなので捨てずに鞄にしまった。
少しだけ清清しい気分になった。


おでん屋の赤い灯が雨にかすんでいた。
その向こうでその小さな店の店主
白いはんぺんをつまみ食いするのが見えた。


はんぺんは黒いものだと信じていたのに。
世界が少し形を変えた気がした。




第三夜
澄んだ空気は肌に少し冷たかった。
真っ赤な満月が暗闇に映える。


今日も何も代わり映えしない一日だった。
いつも通り社食のメニューは微妙だったし
いつも通り主任のパソコンはフリーズするし
いつも通り部長は帰るのが早かった。

「もうちょっと変化が欲しいなぁ」

やまねこはまた、ペダルをこぎながらつぶやいた。


「だったらちょっと変身してみないか」


また誰かのささやき声が聞こえた。
あたりを見回しても姿は見えなかったが
確かに聞こえた。


「簡単なことだぜ。ただちょっと名前を変えるだけさ。」


やはり周囲には誰もいなかった。
変身という言葉に魅力は感じたものの
名前を変えてみろと言われたところで
小粋な名前は浮かんでこないし、考えるのも面倒なので
この話は聞かなかったことにした。



第四夜
おかしな夢を見た。
海を漂う夢だ。
空気のような水に包まれ
どこへ行くともなく、ただ揺れていた。


青い魚は言った。
「約束の地!名古屋へ」と。


そういえば最近ういろうを食べてないな
帰りにコンビニに寄って
100円のわらびもちでも買って食べよう
と、ふやけた頭で考えながら
やっぱりただ揺れていた。




第五夜
狭い部屋の中で正座をしてくつろぎながら
やまねこはパソコンの画面を見つめていた。


こんなものを見つけたのだ。


なんだかお手軽な感じがしたし
一晩くらいなら「整形」なんていうのもいいかもしれない。


その晩やまねこは「夜魔猫」を演じることにした。




第六夜
24時間という期限にはまだ数時間残っていた。
せっかく「夜魔猫」を演じているのだから
なにか「悪」らしいことをしようと思った。


ためしにタバコを吸ってみようと思った。
小さな箱から1本取り出す。

どちらをくわえたらいいかわからない。

すれ違う人の様子をチラ見し、見よう見まねでくわえて
ライターに火をつけ・・・
火をつけ・・・
カチッ、カチッ、カチッ、カチッ・・・




まあいい。
良く考えたらタバコは喉に悪い。



ためしにお酒を飲んでみようと思った。
というか飲んだ。



普段と何も変わらないことに気付いた。



悪いことをするのは難しい。
なかなか思いつかない。
それでもせっかくだから何かしようと
とりあえずスーパーでプリンを買い占めてみた



第七夜
一夜の祭りは終わり
元通りの夜が訪れた。
今宵は月明りが美しく、夜とは思えない明るさがあった。


誰かのささやき声に、周囲を見回す必要などない。
そこかしこに黒に身を包んだ人々の姿が見えた。


そう、元通りなどではない。。
これが全ての始まりであり
ここから世界が形を変えていくのだ。





そして夜毎に黒を纏った人々は数を増していく。
by yamanekohouse | 2004-11-17 00:53 | Nagoya Affair
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